鈴木 佑子

すずき ゆうこ    東京
真昼中ふと母の声木瓜の花
蠟梅の花透くひりりひり孤独
まんさくや光の中の閉塞感
老犬の見つめる先の木下闇
梅雨寒や膝をかかえる哲学者
つばくらめ眼鏡をはずす古書店主
白い帆や行方知れずのコロナの海
夏落葉ふわりふわりと父と母
片蔭もなしカフカの白い道
夫も吾も家具になりけり夏座敷
八重葎深草少将来るかしら
月煌々貧しい吾をつつめけり
市バスには枯葉とわたし霊園行き
極楽は母の口癖柚子湯かな
待つことは祈ることなり冬銀河
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