にいむら ながと 東京
- 句集『魚太る』(文學の森)
立春のふくらんでゐる柱かな
まんさくや明治の祖父が馬で来る
落ちてから雄弁となる椿かな
夏草の男盛りを刈られけり
出口とは入口である蝉の穴
蛍袋に容るたましひも天地も
罪人も良き名を持てり沙羅の花
里ひとつ木犀漬けになってゐる
種子のなき葡萄は神をあざむきぬ
踏んばって稲架白雲に嘶くよ
芋を掘る泥より重き泥の芋
帰るといふ燕は客だったのか
昼月の白き香や花柊
クリムトの女体を飾れ柿落葉
冬麗や凸なるもののみな光り
立春のふくらんでゐる柱かな
まんさくや明治の祖父が馬で来る
落ちてから雄弁となる椿かな
夏草の男盛りを刈られけり
出口とは入口である蝉の穴
蛍袋に容るたましひも天地も
罪人も良き名を持てり沙羅の花
里ひとつ木犀漬けになってゐる
種子のなき葡萄は神をあざむきぬ
踏んばって稲架白雲に嘶くよ
芋を掘る泥より重き泥の芋
帰るといふ燕は客だったのか
昼月の白き香や花柊
クリムトの女体を飾れ柿落葉
冬麗や凸なるもののみな光り