なおえ ゆうこ 千葉
- 句集『櫻時計』(ふらんす堂)
- 共著『現代俳句を歩く』(遊牧俳句会)
- 共著『現代俳句を探る』(遊牧俳句会)
崩れゆく自負のひそかに春隣り
陽炎の中なら少女に戻れそう
梅林のいちばん端は外反母趾
揺れる揺れる記憶のつづき椿落つ
はくれんの錆びて日暮れのいろとなる
桃咲いてひとが毀れる透きとおる
影さして蝶がひとりじゃないという
百万本のひまわりにある負の迷路
長生きの手からこぼれる原爆忌
ひとり野にひとりの月を大きくす
コスモスの余白はすべてははの空
滅びということばの響き葱きざむ
古ぼけた異端のレッテル山眠る
数え日のピアスひとつが砦なの
冬蝶の頭からほろほろ風になる