伍賀 稚子

ごが わかこ    神奈川
  • 合同句集『「俳句の杜」精選アンソロジー』(本阿弥書店)
ビル高くより高く生え凍てており
紅梅や水戸の浪士の血を受けて
天金の父の聖書へ梅一枝
蜘蛛の囲の蜻蛉へ小さき蜻蛉寄る
ラムネ玉ぽんと抜く手の父遠し
耳底の声重なれる秋の汐
モネの絵にやすらぎおれば走り梅雨
アポロン来よ渾身香る朴の花
花合歓の葉騒を母の声と聞き
森あかとき囀は交響楽
白き羽一枚残る春の沼
灯消すテレビの奥の鈴虫に
ペン放れパン屋に遊ぶ芙美子の忌
ゴスペルの声高まりつつ銀河まで
除夜の鐘ははの時計をして眠る
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