代表あいさつ
清水 伶
金子兜太の俳句の神髄を継承し、定型感を土台に現代の叙情を追求する、現代俳句の同人誌です。
あくまで、それぞれの個性を尊重し、研鑽し合うことをめざす「遊牧」に是非ご参加ください。
創刊のころ
塩野谷 仁
素朴な疑問ですが、自分はなぜ俳句に関わり、俳句を書きつづけているのだろうか、とふと思いおこすことがあります。多分、誰しも、一度くらいはそんな経験があると思いますが、その場合、つまるところは、俳句という詩型が自分の性分に合っている、と答えるのがいちばん自分の気持に正直なようです。
現今の俳句界をみますと、さまざまな傾向の作品が氾濫していて、まさに百花繚乱の相を呈しております。そのなかにあって、いまや現代俳句の趨勢は、定型(感)を土台とした俳句という詩型に、いかに自己表現を実現していくか、という点にかかっていると想われます。わたしたちは、こうした傾向を是として、俳句に正面からかかわっていきたいと考えます。
わたしたちの師である金子兜太氏は、『海程』創刊(昭和3年)にあたり、その巻頭言 (「創刊のことば」)で、「俳句という名の愛人を、純粋に、愛せよ」と言いました。この言葉のなかには、理屈ではない、ましてや、ためにするためでもない、俳句への純粋な行動をみていたような気がします。それもこれも、俳句が性分に合っていることが基本にあるからこそであって、わたしたちも、こうしたおおらかな気持で、俳句に向き合っていきたいと思います。
<「遊牧」創刊号より再録>
創刊に寄せて
金子 兜太
塩野谷仁が中心になって、俳句誌『遊牧』を出すと聞き、喜んでいる。
小生の句、「遊牧のごとし十二輌編成列車」を多としてくれて、誌名に使ってくれることになった由。「十二輌編成列車」のゆれながら野を行く風景から、「遊牧」の語が出てきたわけで、列車も牛や羊の群れも、広い原野のなかでは、同じ生きものに見えていた。ゆっくりと牧草をもとめながら移動するいのちの列、その重なり。
この俳句誌にあつまる人たちも、同じようにゆっくりと、古い地域から新しい地域へ、牧草の栄養を十分に摂取しながら、ときには、ぐずぐずゴトゴトと言い合うこともあったりしながら揺れつつ進むつもり、とわたしは見ている。
たしかに、いまのとき急いだり慌てたりする必要はないのだから。
わたしの願いは、自己表現への情熱を持続させながら、同時に、この最短定型の「表現力」をじっくりと身につけてほしい、ということである。どんなに素晴らしい内容でも、この定型で十分に書きとれていなければ、百のものが百に伝わらないということ。逆に、かなり普通のことでも、十分に書きとれていれば、五十が案外に百になる、ということでもある。そこでは、この定型と言葉の関係、音律の活用を通しての韻律の成熟のことなどが問題になるはずである。決めては韻律とまで、わたしはおもっている。
そのことは、五七調最短定型が日本語表現の根っこであり、日本語の土壌そのものであり、それと、現在唯今の自己表現への求めとを、どのように融和させていくかということでもある。この形式についての先人の業績をよく承知することも忘れてはなるまい。感覚とか体感といった、作り手の体の生まな働きを大事と見なければなるまい。
とにかく、遊牧の日日をたっぷりと消化してほしい。そこで試行錯誤を繰りかえしながら身につけていくものを豊かにされよ、といいたい。その日日を愉快とも心得て、ゆっくり歩いていってほしい、と願う。
<「遊牧」創刊号より再録)>
遊牧俳句会
名誉代表 | 塩野谷 仁 |
代表 | 清水 伶 |
同人代表 | 新村 長門 |
編集長 | 川森 基次 |
連絡先 | e-mail : info@youboku-haikukai.com |
同人 / 随時募集中
『遊牧』は俳句という定型を基に、現在只今を生きる人たちの自由な表現を尊重する集団です。
随時、同人を募集しています。お気軽に皆様の参加をお待ち申し上げております。
また、お知り合いの方で参加希望者がおられましたらお知らせいただければ幸いです。
記 | |
◆同人費 | 年間 20,000円 |
◆購読費 | 年間 6,000円 (隔月刊行につき年六冊) |