吉岡 一三

よしおか いくぞう    千葉
  • 句集『遠方』(本阿弥書店)
  • 共著『現代俳句を語る』(遊牧俳句会)
夏燕補助線がまだ見つからぬ
鵙の贄だあれも降ろしてはくれず
行く末は大仏殿の蓑虫に
雪婆もうなき家を越えて来る
大青田鷺を立たせても悔しい
吊し柿母の竹槍どこにある
ヒト以前ウイルスはいて冬菫
一瞬ためらう立春の自動ドア
中宮寺でんでんむしの涎跡
友逝けり昼の外灯昼の虫
電柱に終点ありて夕ひぐらし
片蔭に入れば弟出て行きぬ
ある時は野心家の貌つづれさせ
葱坊主数えて行けばバクダッド
教室の机撫づれば遠雷す
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