たきざわ まりこ 千葉
昭和十四年 | 千葉県生まれ。 |
令和四年 | 遊牧同人。 |
廃屋の奥の奥なる通草の実
人形のように友逝き冬銀河
夕されば刃のごとく菖蒲の芽
春耕のはるかな先の長い橋
父の味にんじんの若芽を食めば
酔芙蓉少女のままで逝きし母
こちら向く朝顔小さくてならぬ
夜の長し人形のプーさん鼻眼鏡
春耕の大きな木蔭にて終わる
天上のおとうと廻すかざぐるま
裏山はいま藤ざかり誰も来ず
坂尽きて母の実家の夏座敷
数えきれない流星でした妣よ
風船かずら揺れを同じに明日は晴
蒲の絮うさぎはどこへ行ったやら