石橋 翠

いしばし みどり    神奈川
  • 共著『現代俳句を語る』(遊牧俳句会)
散る花の密なるときの東歌
紋白蝶の歌聴きたくて目をつむる
きっちりと畳めぬ春の夕暮は
ビネガー一滴春夕焼の完成す
踝の今日もさびしいカーネーション
暑き日のゆらゆら沈むタンブラー
部屋中に睡蓮満ち来夜の雨
降りてしまった小さな駅の緋のカンナ
遠き日を拾い集めている花野
秋灯のひとつのほかは忘れけり
秋じまい高圧線のきれいな弧
銀杏散るゴッホのカフェはあの辺り
ぼろ市の人形の瞳が従いてくる
すり抜けてゆくものばかり竜の玉
「遊牧」にたけし収三実万両
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